症状
短期トレード(金/XAUUSD)において、 エントリー判断が「なんとなく上がりそう」「チャートの形がいい」という 定性的な判断になっていた。
「今日は調子がいい」「昨日損したから取り返したい」という 感情的な状態がエントリー判断に混入していた。
結果として、同じチャート環境でも エントリーする日としない日が生じ、判断の再現性がなかった。
前提条件の特定
観察を続けて、以下の前提条件が判断を歪めていることがわかった。
「ローソク足の形状で方向性がわかる」 「経験を積めば判断精度が上がる」 「チャートを見ていれば感覚でわかるようになる」
これらは全て、 「主観的な解釈で相場の方向性を予測できる」という 思い込みの上に成立していた。
ローソク足の形状解釈は事後解釈になる。 「あの形だったから上がった」という認識は、 上がった後に形成される解釈に過ぎない。
設計
「観察可能な数値のみを判断基準にする」という前提に切り替えた。
1年8ヶ月かけて以下の出来高指標を中心に設計した。
判断基準として採用した指標
CVD(累積出来高デルタ):買い圧力と売り圧力の差
FRVP(固定範囲出来高プロファイル):価格帯ごとの出来高分布
RVOL(相対出来高):平均出来高との比較
Volume Delta:各ローソク足内の需給差
スコアリング設計(AIによる判断補助)
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各指標の状態をスコア化(1〜5点)
↓
スコア3以上 × 相場タイプ「トレンド持続型」のみエントリー
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それ以外はノートレード
重要な設計方針: 「エントリーする」か「ノートレード」の2択のみ。 「今すぐ入るか少し待つか」という曖昧な選択肢を排除した。
変化(ROI)
判断ミスのコスト削減
設計前:「なんとなく」エントリーによる損失トレードが月平均の約40% 設計後:スコア基準を下回った場合のノートレード率が約60%に上昇
最も大きな変化は「損失の種類の変化」だった。
設計前の損失:「なぜ入ったかわからない」損失 設計後の損失:「スコア3以上・トレンド持続型で入ったが方向が外れた」損失
後者は検証・改善ができる損失だった。 前者は検証できない損失だった。
判断の再現性という観点でのROIは、 「改善できる損失構造への転換」として測定される。
AIJSの視点
このケースで起きていたことは、 「トレードの技術の問題」ではなく「判断基準の不在」だった。
感情が混入していたのは意志の弱さではなく、 感情が入る余地のある判断構造になっていたことが原因だった。
スコアリング設計は、 感情を排除するためではなく、 「感情が入る前に判断が完了する構造」を作るためのものだった。
